中国日系企業のガバナンス強化の重要性と監査のポイント
近年、中国における法規制の変更頻度の高さや国際的な監視の厳格化に伴い、企業の統制強化が不可欠となっています。
特に、新型コロナウイルスの影響により、日本からの赴任者が減少し、現地法人の管理をどのように維持・強化するかが課題となっています。
従来、日本人駐在員が現場統制を担っていましたが、今後はリモート管理や現地社員による統制の仕組みづくりが求められます。
当社では、中国企業における代表的な監査項目を内部統制の観点から12のカテゴリに分類し、それぞれの概要と監査のポイントを整理しました。
これらの監査項目を徹底することで、企業の透明性を確保し、コンプライアンスリスクを低減することができます。
中国企業の監査項目とポイント
1.経営全般
企業の経営体制を明確化し、組織構造の整備が求められます。
意思決定プロセスの透明性確保と、役員・幹部の選任・解任の適正化が重要な監査ポイントです。
企業のガバナンスを強化し、不正のリスクを最小限に抑えるための体制構築が不可欠です。
2.コンプライアンス全般
企業倫理の遵守を徹底し、社内通報制度の導入が効果的な対策となります。
特に中国では商業賄賂に対する規制が厳しく、コンプライアンス教育の継続的な実施が企業の信頼性向上につながります。
3.法令遵守
中国特有の労働法、税制、環境保護法などに対応するため、法務部門の役割が重要です。
企業が最新の法改正に迅速に対応し、違反リスクを最小限に抑える体制を整えることが求められます。
4.不正・不祥事への対応
内部監査を強化し、利益相反の監視や不正発生時の迅速な調査・対応が必要です。
不祥事発生時の報告体制を明確にし、従業員への意識改革を促す取り組みも有効です。
5.購入・仕入プロセス
取引先の選定基準、発注・検収・支払までのプロセスの透明性を確保し、記録の整備を徹底します。
サプライヤーとの癒着防止や過剰な在庫の回避が監査の重要なポイントとなります。
6.経理・財務管理
帳簿の正確性、売上・費用の適正な処理、財務報告の透明性を維持することが求められます。
資金繰りの適正管理や銀行口座の管理体制も監査の対象となります。
7.固定資産管理
企業資産の管理体制を整え、資産台帳の整備や定期的な棚卸を実施します。
遊休資産の管理や廃棄手続きの適正化も企業の財務健全性に影響を与えます。
8.販売プロセス
契約書の締結・保管状況、売上計上の適正化、入金確認のプロセス、与信管理体制を監査します。
不正な売上計上や架空取引を防止するための適切な制度整備が必要です。
9.人事・労務管理
雇用契約の適正化、労働環境の改善、評価制度の公平性を確保することで、企業の信頼性を高めます。
従業員満足度の向上が企業競争力の向上にもつながります。
10.経費・旅費管理
経費や旅費精算に関する社内規定を遵守し、証憑類の整合性や承認フローの透明性を監査します。
不正な精算を防ぐための内部監査の仕組みを強化します。
11.情報管理
社内データ・顧客情報の保護体制を強化し、アクセス権限の適正化や情報漏洩防止策を整えます。
個人情報保護法(PIPL)やGDPRに対応し、情報セキュリティの強化が求められます。
12.IT管理
ネットワークの安全性、業務システムの運用体制、バックアップや災害対策の整備を徹底します。
外部ベンダーやクラウドサービス利用時の契約管理も重要な監査ポイントとなります。
13.中国日系企業に求められる監査体制
企業の信頼性を確保し、不正リスクを低減するためには、日本本社が監査を主体的に実施することが不可欠です。
現地法人の監査を現地社員に任せるだけでなく、定期的な監視を行い、改善を促すことが重要です。
当社では、中国法人設立および会計・税務・監査のサポートを行っております。
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