情報資産管理の重要性と監査のポイント

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中国現地法人における情報資産管理の重要性と監査のポイント

デジタル化が進む現代において、企業の情報資産は極めて重要な管理対象となっています。
情報資産には、取引先情報、従業員データ、財務・会計情報、営業機密、設計図、契約書類などが含まれ、これらの適切な管理が企業の信用維持とコンプライアンス強化に直結します。
特に中国では、個人情報保護法(PIPL)やサイバーセキュリティ法の施行により、情報管理への規制が厳しくなり、企業はより精密な監査を求められています。
本記事では、中国現地法人が実施すべき情報資産管理の監査ポイントを解説し、適正な管理体制の構築に向けた対応策を紹介します。
 

1.情報管理規程とマニュアルの整備

企業は、情報資産を適正に管理するために、明確なルールを定めた規程・マニュアルを整備する必要があります。
特に「情報セキュリティ管理規程」「USB・端末管理ポリシー」「個人情報取扱規程」などの文書を用意し、従業員に周知することが重要です。
監査では、これらの規程が中国語で整備され、実務に適用されているかが確認されます。

2.情報統制の運用状況

情報資産を適切に管理するためには、企業が定めた情報統制が実際に運用されているかを確認することが重要です。
監査では、以下のポイントがチェックされます。
①個人情報管理(PIPL対応)
②情報漏えい対策(クラウド、メール、経由の流出防止)
③SNS
④端末管理(・スマートフォン・等の使用制限)
⑤PC USB
⑥バックアップ体制(災害時のデータ復旧)
⑦インサイダー情報管理(上場企業の場合)
監査では、情報管理担当者へのヒアリングや操作履歴の確認を行い、統制が形骸化していないかを評価します。

1.文書の分類と管理レベルの明確化

企業は情報資産を「機密情報」「社外秘」「社内限」「一般公開可」などに分類し、それぞれに応じた保管方法やアクセス制限を設定する必要があります。
監査では、以下の項目が確認されます。
①匿名化または仮名化処理(個人情報)
②アクセス権の設定状況
③操作ログの取得と監視体制
④管理責任者の明確化
情報の分類が不明確なまま管理されていると、情報漏えいのリスクが高まり、事故発生時の対応が遅れる恐れがあります。

2.文書の保管と法令遵守

紙媒体・電子媒体の文書管理には、保存期間、保管場所、破棄方法の適正化が求められます。
中国では、税務・労務・契約・財務文書の一定期間の保管義務があり、監査では以下のポイントが確認されます。
①書類の保存年限(一般的に年間保管)
②保存媒体の明示(紙・電子ファイルの適正管理)
③廃棄記録の整備(証拠としての管理)
④データ復旧可能なバックアップ体制
また、サーバーの設置場所(中国国内の要件)や、クラウドサービスの選定についても法令との整合性が問われます。

3.教育・訓練と緊急時対応

情報資産管理の適正な運用のためには、従業員への継続的な教育・訓練と、緊急時対応体制の構築が不可欠です。
監査では、定期的な社内研修の実施状況、違反時の対応ルール(懲戒、報告フローなど)の整備が確認されます。
また、情報漏えいなどのインシデントが発生した場合の緊急対応マニュアルの有無も評価対象となります。
①インシデント報告書の整備
②社外(顧客・監督当局)への報告ルール
③初動対応フロー(封鎖、調査、通知など)
④関係部署との連携手順(法務・広報・IT部門)
こうした仕組みが整備されていない場合、対応の遅れが企業の信頼喪失につながる可能性があります。
 

まとめ「情報資産管理の強化による企業ガバナンス向上」

中国現地法人における情報資産管理は、IT・法務・総務・営業部門が連携し、全社的に統制を強化することが求められます。
PIPLやサイバーセキュリティ法の影響を受ける企業は、受け身の対応ではなく、能動的な情報統制の構築が必要です。
監査を通じて実効性のある情報管理体制を確立し、継続的に改善を行うことで、企業の競争力と信頼性を高めることができます。
 
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